緊張をコントロールするテクニック
- 小林 紋子
- 2023年4月13日
- 読了時間: 6分
新年度の自己紹介、挨拶回りは一通り済みましたか?
新年度は人前で自己紹介したり初めましての挨拶をする機会が多いですね。
人前で緊張してしまって声が震える方
初めて会う人の前で固くなってしまう方
大切な場面で緊張してしまって本来の力が出せない方
「今さら💦」になってしまいましたが、今日はそんな繊細さんにぴったりのテクニックをご紹介します。
あまりよくないイメージを抱きがちですが、緊張するのはうまくやろうという気持ちの表れ、向上心の表れであり、決して良くないことではありません。
むしろ適度な緊張は交感神経を刺激して、思考力や集中力を上げ、気持ちもシャキッとさせるのでより高いパフォーマンスが期待できます。
それに、無理に「リラックスしなくては」と思うと、よけいに焦ってしまったり、なんてことにも・・・。
緊張しすぎてしまったときは、まずゆったりと深呼吸して交感神経を調整してください。

改めまして。
『緊張を良いエネルギーとして活用し、ここぞという場面で堂々としていられるような状態を意図的に作り出す』魔法のような方法があります。
日常生活の中で、一連の動作が『ルーティン』になっていること、結構ありますよね?
同じことを同じように繰り返すことは、余計な緊張をせず、ストレスも少ないので、意識していなくてもだんだんとそうなっていくものなんですが。
実は、この『ルーティン』にある仕掛けをすると、感情をコントロールするスイッチを作ることができます。
著名人に、大事な場面で着用する服装を決めていたり、必ず行う仕草があったり、その他諸々の決めごとがあったりする方が多いのをご存じですか?
『験(げん)担ぎ』の意味合いが含まれることもありますが、これは心を落ち着けて、パフォーマンスを安定させるための儀式でもあります。
同時に、自分を鼓舞するための、また、集中力を高めたり、緊張をなだめたりするためのテクニックでもあるのです。

『パブロフの犬』という話があります。
「犬にベルを鳴らしてえさを与え続けると、ベルを鳴らしただけで、犬が唾液を分泌するようになる」ことをロシアの生理学者パブロフが発見したという内容のお話。
ベルの音を聞いた犬がヨダレたらしながらしっぽ振って餌を待っている姿🤭
目に浮かびますね。
実はこれ、犬が「ベルが鳴るとごはん」と覚えたから「待ちきれなくてヨダレ出ちゃう♪」と喜んでいるわけではありません。
ベルの音を聞きながらご飯を食べている(当然のことながら唾液も出る)うちに、意志とは関係なく「ベルが鳴ると唾液が出る」よう身体が反応するようになった、条件反射と言われる生理現象です。
梅干を食べた経験のある人が、梅干を見ただけでじんわり唾液が出てきて、
「見ているだけで酸っぱいゎ🤣」となるアレと一緒です。
そして、犬の実験に関して言えば、唾液の分泌には幸せホルモンであるドーパミンが関係していることもわかっています。
ということは・・・。
「ヒトも同じプロセスを踏めば条件反射を利用して感情を操作することができるのではないかっ!?」
で、提唱されたのが【アンカリング】と呼ばれるテクニックです。
「明日、みんなの前であいさつしなければならない」と考えただけでドキドキしてしまうという方。
実は「人前に立つと緊張する」というイメージトレーニングを何度もしてしまい、その結果、「明日のことを想像する」だけで、または「人前で挨拶」という言葉を聞いただけで鼓動が早くなってしまうという【アンカリング】を知らず知らずのうちに行ってしまっている可能性がありました。
これを機に、ぜひぜひ有効なスイッチに作り直してくださいね。

【アンカリング手順】
① 人前で堂々と話をしている自分をイメージします。
② 今までに、それと近い感覚になった体験を思い出してください。
例えばこんな感じ。
・ (人前でなくても)臆することなく取り組めた
・ あのときの私、輝いていた✨
・ (何かをやり遂げて)すごいじゃん、私っ!!(と思った)
全く同じ場面でなくても大丈夫。
趣味や何気ない日常の出来事でもOKです。
③ そのときの状況を観察してみます。
◇ 何が見えますか?
◇ 何が聞こえますか?
◇ 肌に触れる感覚はありませんか?
◇ 匂いはどうですか?
この、ありありと感じる感覚が強力なスイッチになるのです。
④ この感覚をいつでも再現できるように、スイッチとなる仕草を決めます。
その仕草がスイッチだとはっきり区別でき、尚且つ、ふとした拍子にスイッチが入って しまわないように、普段はあまりしない仕草がおすすめ。
とは言え、2度とできないほど難しいポーズや人前でできないようなものは避けた方が無難です😅
例えば「丹田(お臍の下)に手を当てる」「拳を握る」「特定の言葉をつぶやく」など。
どの場面でも再現しやすいように、さりげないものが良いと思います。
⑤ 今、まさに①の体験をしているかのようにイメージします。
自信に満ち溢れた感覚になってきたら、先ほど決めた仕草を行います。
この仕草は、感情がピークに達する直前で行うのがポイントです。
⑥ 感情がピークに達した時点で一度感覚をリセットします。
深呼吸したり体を軽く動かすなどしましょう。
⑦ ①→⑥の流れを繰り返し、感覚を強化していきます。
何度も繰り返すことで、例えばお臍に手を当てると腹が据わるという紐づけができます。
⑧ その仕草を行うことで「腹が据わる」スイッチが入るかどうか確認します。
何も考えずに④で決めた仕草をしてみましょう。
自分に起こる変化を観察し腹が据わっている感覚になっていたら成功です。
もしも変化が弱いようなら更に⑤→⑥を繰り返して強化します。
⑨ 体を軽く動かすなどして、感覚をリセットします。
⑩ 最後にスイッチが機能しているか確認します。
緊張する場面を思い浮かべ、ドキドキしてきたらスイッチを使ってみて、その感覚が弱まるまたは消えたならスイッチは完成です。
同じ手順で「自信スイッチ」「安心スイッチ」「やる気スイッチ」「集中力スイッチ」「幸せスイッチ」など思いのままに感情を切り替えるスイッチを作ることもできて便利なテクニック。
一度この感情切り替えスイッチを作っておけば、必要なときに必要な場所で、狙い通りの感情を引き出すことも可能になります。

【アンカリング】を応用したものに【サークル・オブ・エクセレンス】というテクニックがあります。
やり方は【アンカリング】とほとんど一緒で、五感を研ぎ澄ませて『あなたの能力が最大限に発揮できたときの経験』を思い起こした後、その状態を色で表現すると何色になるか考えていただきます。
目の前にその色のサークル(輪っか)があるとイメージし、最高の状態を保ったまま、その中に入ります。
感覚をリセットするときは、サークルの外に出て、身体を動かします。
そして「中に入り感覚を感じ、出てリセットする」を何度も繰り返して感覚を強化していきます。
仕草で紐づける代わりに『サークルに入る』ことが特定の感情を呼び起こすスイッチになるという理屈です。
カラーサークルがイメージしにくいときは、【アンカリング】のようにサークルを呼び出すための仕草を決めておいても良いですね。
この方法の良いのは、自分のテリトリーができ、自分を取り巻く環境との境がはっきりするので「守られている」安心感が得られることです。
プレゼンテーションやスピーチなど『人前で話す場面向き』の方法かもしれません。
カラーセラピーの視点からも、その色に包まれていることや呼吸で取り込む様子をイメージすることでその色の力も得ることができるので、更に効果的であると言えます。
このトレーニングを活用して、理想の自分を手に入れましょう!!
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